BFNICU認定開始のご案内

2024/01/18

  「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」認定について  
 
                         一般社団法人 日本母乳の会 
                              代表理事            吉野 和男
                              BFH認定推薦委員会 委員長 永山 善久 
 
 厳しい寒さが続いております。
 皆さまが、日頃より母乳育児支援にご尽力されていることに、心より敬意を表します。  また、日本母乳の会の活動にご理解とご協力を頂いていることに感謝申し上げます。
 2018年のWHO/UNICEFの実践ガイドにおいて、BFHIの対象はすべての新生児であり、NICUに入院する早産児、低体重児、病児も含まれることが明記されました。そして、2020年WHOから「NICUにおける母乳育児の保護、促進、そして支援(低体重、病的新生児、早産児のために)」も発行されました。このように周産期センターを有するBFH施設ではNICU/GCUにおいてもBFHの実践を行っていくことが求められることになりました。
そこで、日本母乳の会においても「改訂母乳育児成功のための10ヵ条」に沿って母乳育児支援を行っている周産期センターを「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」として認定していくことになり、2023年から認定を開始したところです。これは日本母乳の会の認定ということになります。WHO/UNICEFが認定しているBFHはNICUを含む施設全体を指していますので、BFH施設内にあるNICUを認定するのは日本母乳の会独自の認定となります。
新生児特定集中治療室加算1もしくは2を算定している病床を有する施設が対象になりますが、公的には算定していなくても実質的にセンター機能を有している施設については、別途考慮しますので、お問い合わせください。
 

赤ちゃんにやさしいNICU (Baby Friendly NICU = BFNICU) 認定推薦について
一般社団法人 日本母乳の会
ベルリンで開催された第2回先進工業国BFHI会議においてBFH活動をNICUにおいても実践していこうと提唱され、その後Baby Friendly NICUを勧める動きが欧州、カナダ、南米を中心に始まりました。特に北欧がこの運動を先導しました。このような状況のもと、2011年、2015年にスウェーデンのウプサラ大学を会場としてneo-BFHI国際会議が開催されました。neo-BFHIとはBaby Friendly NICUと同義の言葉です。また、2016年にスイスのジュネーブにあるWHO本部で行われたBFHI国際会議でもBFNICUが課題として議論されました。こうしてBFNICU活動に対する機運が高まり、欧州の一部の国でBaby Friendly NICUを認定することが始まったのです。
このような世界的な動きを受けて、日本でも日本母乳の会がBFNICU活動を開始しました。まず、2017、2018、2019年に周産期センターを有するBFH病院を対象にBFNICUワークショップを開催しました。また、2016年にBFH病院の周産期センターを対象にNICU/GCUにおける母乳育児支援の現状調査を行い、結果を学会、医学雑誌に発表しております。さらに2017年には新生児病棟(NICU)における母乳育児成功のための10カ条の遵守状況について国際アンケート調査が施行され36か国が参加しましたが、日本母乳の会もこれに加わっています。この結果も論文として発表されております。こうした状況の中、2017年にWHO/ユニセフから出された改訂「母乳育児成功のための10カ条」には早産児、低出生体重児を含む全ての赤ちゃんに対して10カ条を実践していくことが明記されたのです。すなわち周産期センターを有するBFH病院では、病院全体のBFH活動の一環としてNICU/GCUにおいてもさらなる母乳育児支援に尽力すべきとうたわれました。以上のごとくの世界的状況を踏まえ、日本においても昨年(2023年)からBFNICUの認定を行うこととなりました。
私たちは、BFNICUの普及によってNICUに入院する多くの赤ちゃんたちが家族の愛情いっぱいの家庭に帰っていくことを期待しています。このような趣旨をご理解いただき、BFNICU認定にご尽力を賜ることができれば幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
 
 赤ちゃんにやさしいNICU(Baby Friendly NICU)の認定基準と手順
                      一般社団法人 日本母乳の会
A.   認定推薦の前に
申請される施設は、以下の条件に該当していることを確認してからご提出ください。
 
<申請に当たって>
1)  BFNICUを申請するNICU/GCUは赤ちゃんにやさしい病院(BFH)であることが必要です。
2)  BFNICUの対象となる施設は、新生児特定集中治療室加算1または2を算定している病床を持つ施設です。ただし、それ以外の施設がBFNICU認定を希望される場合はBFH認定推薦審査会議で協議し認定審査をするかどうかを決定しますので、お申し出ください。
3)  3年間の実績データ(入院患者の概要、母乳育児関係のデータ)、入院した児のお母さんに対するアンケート調査結果、NICU/GCUのスタッフに対するアンケート調査結果、10カ条の実践状況を示す書類の提出が必要です。詳細は別紙のとおりです。なお、2024年に審査を申請される施設は提出すべき実績データは3年間分ではなく過去2年間分だけでも可とします。ただし3年分のデータがある場合は、3年分を提出して下さい。
4)  NICU/GCUに日本母乳の会の会員がいることが必要です。会員がいない場合は、申請時には入会をお願いいたします。
 
<「赤ちゃんにやさしいNICU・BFNICU」認定後>
1)  認定後は毎年、所定の施設データの報告書を日本母乳の会に提出してください。
2)  施設がBFH本体の再評価を受ける年に、同時にBFNICUの再評価を受けなければなりません。NICUにおける実践状況を所定の書式で日本母乳の会に提出して下さい。
3)  「赤ちゃんにやさしいNICU・BFNICU」認定は資格ではありません。これは従来の「赤ちゃんにやさしい病院・BFH」と同様です。BFHI(Baby Friendly Hospital Initiative)と呼ばれるように、認定後は母乳育児推進活動の役割を担っていただき、地域への母乳育児を推進していくことが求められます。
 
B.   認定推薦基準
WHO・ユニセフの「母乳育児成功のための10カ条」を実践した施設であることに加え、母乳育児の普及と推進に取り組んでいる施設であることが必要です。
1)  2018年版WHO・ユニセフのBFHI実践ガイドに記載されている早産児・低出生体重児に関する10カ条(別紙の「BFNICU認定評価項目」を参照)を遵守し実践する施設であること。
2)  母乳育児推進のための教育活動(母親・家族に対する啓蒙、医療スタッフに対する教育)
が継続的に行われていること。
3)  退院時栄養法(退院時母乳率)などの数値はあくまで参考としているもので、認定推薦を決めるものではありません。
 
C.   認定までの手順
書類審査
1)  申請の受付は年1回とし、今年の提出期限は5月31日とします。
2)  書類審査後、ZOOMにて面談を行います。
3)  申請書は理事会に設置されたBFH認定推薦審査会議(理事とBFH審査委員で構成)が評価審査します。
4)  認定となった施設には日本母乳の会から認定書が授与されます。
 
「赤ちゃんにやさしいNICU(Baby Friendly NICU)」認定申請費用
・申請諸費用として5万円を申請書の提出と同時に納入してください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「赤ちゃんにやさしいNICU」認定申請書類の内容・書き方
                      一般社団法人 日本母乳の会
A.   認定申請書作成にあたっての注意・お願い
・申請者は施設の長です。NICU/GCUの責任者ではありません。
・申請書の締め切り:2024年5月31日です。
・申請書類は簡潔に読みやすく作ってください。また、書類は表裏印刷でお願いします。
 
B.   認定申請書の内容
<必要書類の作成>
1)  申請書:書式①に記入してください。申請者は施設の長です。NICU/GCUの責任者ではありませんので、ご注意ください。
2)  データ調査用紙の記入(書式②)
データ調査用紙の項目2~4は過去3年間(年度ではありません)のデータを記入ください。
なお、2022年に審査を申請される施設は提出すべきデータは3年間分ではなく過去1年間分だけ、2023年に申請される施設は過去2年間分だけとなります。また、項目1、4は前年の状況をお書きください。
3)  母親へのアンケート
NICU/GCUに入院した児の母親に対してアンケート調査をお願いします。アンケートは別紙のとおりです。アンケートは時期を決めて連続して取ってください。(作為的にアンケートを取る対象を選ぶことは避けてください。)取っていただくアンケート数は、2)の提出データの対象となる年間症例数のおよそ10%です。ただし、下限は10人、上限は50人とします。また、アンケートは児の退院時に行ってください。なお、アンケート実施期間中に入院患者数が予測より少なかったなどの理由により、アンケート数が予定の数に到達しない場合は事情を配慮し可としますので、その旨をお申し出ください。母親アンケートは各施設で集計し、結果の集計表(書式③)だけ添付してください。
また、母親へのアンケート調査を行うに当たって、倫理委員会の承諾を得ることが必要な施設もあるかと思います。この件に関してはすでに富山県立中央病院で倫理委員会から承諾を得ております。希望があれば同院の倫理委員会申請書を送付いたしますので、それを各施設の書式に改変していただき迅速審査に回されるようお願い申し上げます。
4)  スタッフへのアンケート
NICU/GCUの医療スタッフに対してアンケート調査をお願いします。アンケートは別紙のとおりです。アンケートを取る対象職種は下記に示す全ての職種です。
・NICU/GCU業務に関わる小児科医全員
(NICU/GCU専任医、一般小児科医を問わず、少しでもNICU/GCU業務に携わる小児
科医全員)
・NICU/GCUの看護師、助産師全員
・NICU/GCUに関わる臨床心理士全員(NICU/GCU専任、兼任を問わず)
・NICU/GCUに関わる保育士全員(NICU/GCU専任、兼任を問わず)
・NICU/GCUに関わる理学療法士全員(PT、OT、ST)(NICU/GCU専任、兼任を問わず)
スタッフアンケートは各施設で集計し、結果の集計表(書式④)だけ添付してください。
5)  10カ条の実施を裏付ける文書
10カ条(2018年改訂)および「BFNICU認定評価項目(別紙)」の実践を裏付ける事項を記載してください。定められた書式はなく自由記載です。記述の目安として下記の内容をあげましたが、貴院での実践状況について他に記載すべきことがありましたら何でも自由にお書きください。また、実践を示す具体的な資料があれば添付していただいても構いません。(勉強会資料、会議録、家族に渡すパンフレット、規定・基準・手順を示した印刷物やマニュアルなど)
・1条a WHOコードを遵守している旨を記述してください。人工乳の購入方法、購入価   
     格(競争入札になっているかどうかなど)。また、乳業メーカーなどから退院時の
おみやげやNICU/GCUへの便宜供与・物品供与がないか。
・1条b NICU/GCUにおける母乳育児推進の理念、方針を記述してください。また、病
院の母乳育児推進委員会にNICU/GCUからどんなメンバーが参加しているか
お書きください。
・1条c 上記の2)のデータ調査用紙を記入いただきましたが、退院時栄養法、直接哺乳
     実施状況、ケア実施状況などを考察し、改善していくシステムがあれば(あるい
     は今後システムを作っていく予定があれば)お書きください。
・2条  NICU/GCUでの母乳育児に関する新人教育、スタッフ教育の概要を記載してく
ださい。(NICU/GCU独自の勉強会がある、あるいは病院全体の勉強会に参加し
ているなど。また、それら勉強会の回数や参加している職種など。)
     また、日本母乳の会の研修会、ワークショップ、シンポジウムへの参加があれば  
     お書きください。
・3条  NICU/GCUに入院する可能性のある児を出産する妊婦さんに、妊婦健診や産前訪門で母乳育児の大切さを伝えていれば、その概要や話をしている職種を記載してください。また、緊急母体搬送の時でも産前訪問はされていますか。
・4条  低出生体重児、早産児の早期母子接触(STS)の実施基準、手順がありましたら
記載してください。また、入院中に父親にもカンガルーケアを勧めているかどう
かも記載してください。
  ・5条  母乳育児を希望される母親に対して入院中、退院前に行っている母乳育児支援の
実際を具体的に記述してください。また、誰が行っているかもお書きください。
(産科病棟の助産師、NICU/GCUの看護師・助産師など)
  ・6条  超低出生体重児で母親からの母乳が得られない時、児の経腸栄養はどうされてい
ますか。母親の母乳で殆ど間に合う、不足分は人工乳、できるだけ中心静脈栄養
で頑張る、糖水を投与、母乳バンクを利用する、もらい乳をする、など施設とし
ての方針があれば記載してください。
  ・7条  両親の面会時間の規定、きょうだい面会や祖父母面会の可否・規定などについて
記載してください。また、新生児搬送などで、児の母親が搬送元に入院しており
母子分離になった時に母乳育児支援はどうしておられますか。母親が搬送元から
自院に転院できる制度がありますか。
クベースの横に家族と児が一緒に過ごせるような設備(家族用のベッド、ソファ
ー、テーブルなど)が一部にでも用意されていますか。あるいはブース化されて
いますか。また、ブース化されていない場合、カンガルーケア時などのプライバ
シーの保護はどうされていますか。(衝立、カーテンで仕切る、別の個室で行っ
ているなど)
  ・8条  お母さんが赤ちゃんの欲しがるサインがわかり授乳できるようにどんな支援の工夫をしておられますか。
・9条  カップ授乳をしておられる施設で、開始基準や手順などがあれば記載ください。
・10条 退院後の母乳育児支援についてお書きください。
 
<書類の綴じ方>
1)     申請書類全部を紙ファイルに綴じてください。ビニール製のクリアファイルはご遠慮くだ
さい。背に「20〇〇年 BFNICU申請資料 〇〇病院」と入れてください。
2)     綴じる順番は下記のとおりです。
①    申請書(書式①)
②    BFNICU提出データ(書式②)
③    母親アンケート集計表(書式③)
④    スタッフアンケート集計表(書式④)
⑤    10か条の実施を裏付ける文書(自由記載)
3)     提出書類には上記項目ごとにインデックスを付けてください。
 
<申請書類の送り先>
・申請書類について不明の点がございましたら、事務局までご連絡ください。
・提出書類の送り先
〒165-0026 東京都中野区新井3-9-4
一般社団法人 日本母乳の会事務局
・提出書類は20組作成してお送りください。再申請の場合も同じです。また、これら印刷した
 ものとは別に、全ての書類をDVD1枚に入れてご送付ください。 

 

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