世界母乳の日、世界母乳育児週間によせて

2023/08/07

世界母乳の日、世界母乳育児週間によせて
                                          一般社団法人日本母乳の会 代表理事  吉野和男
                                           副代表理事   佐藤文彦
                                                   永山善久
 
1990年8月1日、WHOとユニセフは先に出した共同声明「母乳育児の保護、促進、そして支援-産科施設の特別な役割」をさらに進めるために、30カ国の政府、複数の国際団体とともにイタリア、フィレンツェの国際児童開発センターにおいて「イノチェンティ宣言」を採択しました。そして、「宣言」を記念して、毎年8月1日を「世界母乳の日」としました。WHOとユニセフの援助を受けて設立された世界母乳育児行動連合(WABA)は、1992年、毎年8月1日から1週間を「世界母乳育児週間」と定め、母乳育児を奨励するキャンペーンを行うこととしています。
これに呼応するように、日本では日本母乳の会の礎を築かれた山内逸郎先生の呼びかけで1992年8月1日、2日に「母乳をすすめるための産科医と小児科医との集い」が大阪で開催されました。これが、毎年日本母乳の会が開催している「母乳育児シンポジウム」の第1回目で、その後、毎年この時期に「母乳育児シンポジウム」を開催しています。
今年は、8月26日、27日に第31回母乳育児シンポジウムを広島国際会議場においてハイブリッド形式で開催します。2つの特別講演を企画しました。1つ目は絶え間なく進歩する生殖医療技術と子育てについての意識、価値観の変化を調査し続けてきた柘植あづみ先生から「生殖技術と親になること」と題してお話していただきます。2つ目は「原爆の日から繋がれた命を思う」と題して、戦争とは何か。そして平和の必要性を考えるお話を小島和子さん、田中敬子さんからしていただきます。また、2つのシンポジウムを企画し、「NICUから始まる母乳育児支援~明日につながる支援を考えよう~」と「明日から始められる母乳育児支援の実践:山内305カ条、そして10カ条を考える」です。今、シンポジストが決まり、それぞれ議論を深めるように、2つのグループで話し合っています。また、「母乳育児にやさしい社会を目指してー父親、企業、自治体から」として市民公開講座を企画しています。
BFH施設のNICUにおける母乳育児支援に対して、日本母乳の会は「BFNICU」としての認定を企画しました。今年7施設からBFNICU認定申請があり、理事会で全施設を認定し、広島の母乳育児シンポジウムで認定式を開催します。
新型コロナウイルス感染症は「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」でしたが、2023年5月8日から「5類感染症」になりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染のパンデミックは、感染抑制のために三密を避ける行動へと、生活様式の変更を強いてきました。人とのつながりを大事にする母乳育児にとって、難しい状況でありましたが、だからこそ、改めて母乳育児の原点にたち返り、母乳育児支援について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
日本母乳の会は「1人でも多くの母子が母乳で育てられる幸せを」を活動理念に、今後も活動を続けてまいります。